セラピーのセルフワークが進まない　40代女性　Kさん　―　小貫淳子　―

あるセラピーを学ばれているKさん。自分自身に対してもそのセラピーを使ったセルフワークをしていこう、と思 うものの、実際には全く手に着かないといいます。「このままでは、前に進めない」「どうして、やったほうがいいことができないのだろう？」という思いに苦 しんでいるとのことでした。

このセッションでは、まず目を閉じていただき心のなかにいる「セルフワークをやりたがらない自分」にまず登場し てもらいました。すると「このままじゃダメなの？！」と足をばたつかせて叫んでいる女の子がでてきました。ご本人に確認したところ、それは小学生の時の自 分—とのこと。引っ越したばかりで友達もなく、弟が生まれてお母さんは忙しく、以前は近所に住んでいた親戚の伯母さんに可愛がってもらえたのに…と、居場 所のないかんじを感じている女の子です。そのままマトリックス・リインプリンティングに入りました。女の子は淋しさ、孤独を感じており、また「（環境は変 わったけれど自分は）このままで大丈夫」でいることを望んでいました。

Kさんがセッション後に気づかれたのは、自分は「今のまま、そのままの私でいたい」ということでした。そして、セラピーが、いつのまにか自己批判のツールになっていたことに初めて気付かれました。セラピーのセルフワークでの自分の欠点を無理に変えようとしていたのです。ハートは、ちゃんと訴えていたのでした。「自分のままでいたい」と。

「ありのままの私でいたい、って思っていたのに、いつの間にか、ありのままの私にダメだしして、変えようとしていたんですね」と笑っていらっしゃいまし た。「セルフワークは、ラクになるためにするものだったのに、”いい私になる”ためのものだと思い込んでいたことに気づきました。セルフワークとの付き合 い方も変わって行くと思います」