Hさんは、不機嫌な人を見ると、「自分のせいだ」と思い身構えてしまいます。また、相手の顔色に合わせたり、相手にへつらう自分を冷ややかに見る自分に対しても嫌悪感を感じています。

H さんの子供の頃の日常のシーン。不機嫌を家族にぶつけている父親。怒りと哀しみを閉じ込めた無表情の母親。テレビにすがる兄。背中を丸くしてうつむいてい る私。これ以上、雰囲気を悪くしないために機嫌を取る私。幼い私は家族を不幸にする父に対する憎しみでいっぱいでした。

父は、アルコールが入ると昔のこと をグチグチ言いだし、周りを嫌な気持ちにさせます。「どうして大人なのに会社の不満を周りにまき散らすの?普通に楽しく暮らしたい」幼いHさんはそんな気 持ちでいっぱいです。でも、よく思い出すと父は、やさしい時もありました。父は、不器用で寂しかったのかもしれないと、父親の置かれた立場を理解していき ます。

セッションでは、今のHさんが現れ「お父さん、大変だよね。そんなお父さんのこと家族は理解している。わかっているから、もっと楽になって。そんな に不機嫌にならなくてもいいんだよ」と伝えます。それを聞いたお父さんは、ふと救われたような表情になります。お父さんを楽にしてあげられHさん。両者に ほっとしたような温かい気持ちが流れます。

そこでは、夢にまで見た家族だんらんの光景が見えます。恥ずかしそうな笑顔の父親。嬉しそうな母親。ちゃんと背筋が伸びて、父親の目を直視しながら話を聞いている私。兄までもが会話に加わって、とても嬉しい。

この満たされた感情をハートに焼き付けることで、Hさんは、過去を解放していきました。

 

セッ ションで、まさか父を思いやる気持ちがわいてくるなんで意外でした。でも、父はお酒に飲まれていたんですね。信じられないほど、心が楽になりました。そし て、私は父を愛していたんだということにも気がつき、その思いを受け入れることができました。これからも、思い込みを見つけたら、ひとつひとつ手放したい です。息を詰めずに自由に生きていけそうな気がしています。

セラピスト情報

氏名:青木理恵
※現在、マトリックス・リインプリンティング・ジャパンには登録しておりません