Mさんは、職場で異動先の選択肢をいくつか提示されているものの、どこに行くのが良いか決められないというご相談内容でいらっしゃいました。
お話を伺っていくと、会社の経営者の方(以下Aさん)に対して、食い違いや気を遣ってしまう感じ、上手く行かない感じがあり、そのために、ご自身の行先について迷っていらっしゃることが見えて来ました。

カウンセリングで、「しがらみも他者の思惑も何もまったく関係が無かったら、どこに異動したいか」を伺って行ったところ、Mさんが望んでいたのは、Mさんが元々所属していた部署に戻ることでした。
そこで、その部署に戻られたご自身をイメージしていただくと、Mさんは「戻ってこられて嬉しい、やっと戻って来られた」と感じていらっしゃるけれども、Aさんが寂しそうな表情をしているとのこと。
そして「Aさんの悲しみが伝わってきて怖い」と号泣されました。
EFTで感情を解放すると、「何とかしなきゃと思って焦ってる。でも自分は何もできない。何にもできない自分」
は居なくてもいいんだ。」という思いが出て来ました。
かなり感情も強く感じていらっしゃったため、セラピーに入ります。

「何にもできない自分は居なくてもいいんだ」と初めて感じたのは何歳くらいのことかを伺うと、小学校5年生
のMさんのイメージが現れました。
Mさんは5年生で引越をされたとのことですが、引っ越す前は、小学校で何でもできたそうです。
けれども、大きな学校に引っ越してからは、自分は何もできないと感じるようになりました。
その5年生のMちゃんの「どうしていいか分からない。私、何もできない。私は居なくてもいい。」という強い不安をMRで解放して行きます。
すると、「本当は自分が何もできないと知っている」Mちゃん、何もできない自分がバレてしまうのが怖くて、バレないようにすごく頑張っているMちゃんが出て来ました。
さらにMRを進めて行くと、Mちゃんが「自分の悪い心が全部バレてしまう」と非常に恐れていることが分かりました。
「悪い心の自分」をイメージしていただくと、「悪い心の自分」は、ずっと押し込められていて、出て来られてほっとしているとのことでした。
更によく感じていただくと、Mさんが「…あれ?おかしいですね、(悪いと思っていたのに)出て来たら悪く無い。」とおっしゃいました。そして、「悪い心の自分」は、押し込められていたけれど、実は一生懸命自分を守ってくれていたことをMさんは感じられ、号泣されました。
Mさんは、「悪い心の自分」に、心から「待っていてくれてありがとう。」と声をかけられました。
そして、MさんとMちゃん、そして「悪い心(だと思っていた)の自分」の3人で、くるくる回って遊びたいとおっしゃり、その楽しく嬉しい感覚を焼き付けて、セラピーを終了しました。

終了後に、Aさんの寂しそうな表情をイメージしていただいたところ、ガラッとイメージは変わっており、「Aさんは笑っている。自分(Mさん)も笑っていて、とても嬉しく感じている。」とおっしゃって、涙されました。

セッションが終わってから、Mさんは、ずっと、思い通りにならない自分自身を「敵」だと感じて来られたとお話してくださいました。
「でも、自分は敵ではなかったのですね…。」とおっしゃったMさんの言葉が、私の胸にも温かく響きました。